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たま号

「ひざまづいて足をお舐め」

これを初めて読んでから10年近くの月日が経っている事に驚くが、
当時、何かと可愛がって下さった年配の読書家(♂)さんからの薦めで読んでみた。

常日頃、どんなに人から薦められても
自分の触手にタイミング良く引っ掛からない限りは
手元にあったとしてもページをめくる事はまずない。
この習性で損している事もあるんだろうなぁとは思うけど…。

これは山田詠美さんの作品の中で2冊目に読んだ物で、小説であり勿論フィクション。
未知の世界・初めての言葉たち・人物相関などが相まった世界。
ひとつひとつのシチュエーションを私は体験していないにも関わらず、
そこに生きる登場人物たちの心情ややりとり、それぞれが背負っている環境の重さ
などに対して細やかな部分にまで渡って嘘っぽさを全く感じなかった。

私が気づかないだけで、状況は同じじゃなくとも
凄く身近な日常の中にこういう「物語」が横たわっているのかもしれないんだよなぁと。

この作品に限らずショッキングな題材や状況設定が
ご自身の境遇と相まってマスコミ的に話題になりがちだったらしいけど
この作品を読んだ時点では、私は何も知らなかった。
今思えばだけど、作者の内面に宿る「書かれるべきもの」が、
私の中にスゥッと入って来る事に驚き、
尚且つそれが心地良かったので虜になったのかもしれない。
この作品をきっかけに、作者自身への興味が湧き全著書を読破していく事になった。

サラサラ~っと読める代物は余りない。
「アニマルロジック」「トラッシュ」に至ってはそれこそ咀嚼を繰り返し、
前に戻ったり思いに耽りながらじっくり向き合うように読んだなぁ。
(詠美さんの痛快なエッセイは別。一気にガンガン読めちゃう!)
だからこその醍醐味というか、読み終わったページの量よりも
残りページの厚さの方が少なくなってくると
「あとこれだけで終わっちゃうのか…」と寂しくなり、
殊更じんわ~り行間を慎重に読んだりしちゃう。
それがまた楽しいんだよなぁ(笑)
by tama-gogo | 2004-08-06 04:30 | 本・映画・音楽
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思いつき日記(不定期更新)

by tama-gogo
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